人工衛星の売り込みは、経産省と主要企業が官民合同の訪問団を組み、アフリカや南米を訪れるなど具体的に動きだしている。狙いは衛星単品販売ではなく、運用や解析、保守までを合わせたパッケージでのシステム受注。
エジプトからは総額50億円で衛星システムを発注したいと打診があったほか、ブラジルからは共同開発を持ちかけられている。 日本の衛星ビジネスはこれまで官需依存で、メーカーは国内を軸に事業を進めてきた。だが、世界の地球観測用衛星打ち上げ数は、09―18年の10年間の見込みで260機。
00―09年の10年間に比べほぼ2倍だ。「主に新興国がけん引する」と見ている。 一方、政府が衛星システムを受注する方向で交渉しているのはベトナム。円借款を供与することで大筋合意し、早ければ災害監視衛星を13年にも打ち上げた。 国の宇宙開発を担う宇宙航空研究開発機構では、官民の連携専門部署を機構内に設置。「企業や大学・研究機関への後押し」も進めている。宇宙産業で先行する欧米に大きく水を開けられている日本。官民連携をどこまで強めることができるかが、日本の宇宙ビジネスの行方を左右しそうだ。