アジアや南米などの旺盛なIT需要をいかに取り込むかがカギを握る情報通信業界。中でも官民連携で着々と成果を上げているのが、地上デジタル放送規格の海外展開だ。
日本方式「ISDB―T」は電波障害や干渉に強く、同一設備で携帯端末向け放送「ワンセグ」も伝送できるなど、欧州や米国方式に比べ高い技術優位性を持つ。
現在、ブラジルやアルゼンチン、フィリピンなどが採用を決定。昨年末にはウルグアイが加わり、日本方式は11カ国に膨らんだ。特に南米諸国は当初、欧州方式の採用が有力視されていたが、日本の官民一体での売り込みが奏功し、ひっくり返した格好。今後は導入方針を示していないアフリカへ攻勢をかける。トップセールスが大きな効果を上げたことから期待したいところだ。また、総務省はアジア向けに都市型交通システムやスマートグリッドなど、情報通信技術を組み込んだ次世代インフラのパッケージ輸出も狙う。関係府省との共同プロジェクト推進や、官民協働で日本の保有技術の国際標準化、人材育成などを進める。